2023年に映画化もされた「あの花が咲く丘で」。
原作は 汐見夏衛さんによる小説です。
そして映画には無かったのが、最後の男の子のシーンです。

何者だったの?
どんな役割がある?
など疑問に思った方もいるでしょう。
またラストの手紙の中のセリフも意味深だったため気になりますよね。
今回の記事では原作のラストについて、
- あの花が咲く丘での最後の男の子は何者でどんな役割?
- 最後のセリフの意味は?
についてまとめていきたいと思います。
原作、映画のネタバレを含みますのでご注意ください。
あの花が咲く丘での最後の男の子は何者でどんな役割?
2016年に発売された汐見夏衛さんによる小説、
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」。
2023年に公開された映画版は、
原作に近い形で作られていました。
しかし最後のシーンで謎の男の子が登場するのは原作のみです。
何者で、どんな役割があるのでしょうか。
男の子の正体は彰の生まれ変わり
最後のシーンで登場した男の子はズバリ彰の生まれ変わりです。
宮原涼(みやはら りょう)という中学2年生の男の子です。
原作ラストで登場
主人公の百合は1945年から現代に戻っていました。
社会科見学で偶然訪れた特攻資料館で、
「百合へ」と書かれた彰の手紙を発見します。
自分への愛が綴られた手紙を見て百合は号泣。
百合と一緒に生きるよりも、
特攻隊員としての死を選んだ彰。
しかし百合を深く愛していたことがわかりました。
その後、学校に戻ってきた百合。
校門のそばに、
知らない制服を着た男の子を見つけます。
男の子は百合の気配を感じて振り返ります。
そこで百合は彼が彰の生まれ変わりだと感じ取ります。
男の子は百合に話しかけ、
- この学校に転校してきたこと
- 百合と同じ学年であること
を伝えるのでした。
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不思議で、そして素敵な終わり方でした。
男の子の役割は続編の主人公
特攻隊員である彰は任務を遂行し、
百合と人生を共にすることはできませんでした。
しかし現代に戻ってきた百合が彰の生まれ変わりと出会うという、
サプライズが待っていました。
そしてこの男の子の本当の役割は続編の主人公です。
小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」には続編があります。
「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」です。
この物語の主人公は百合ではなく、
彰の生まれ変わりの男の子、宮原涼です。
百合に好意を持つ
百合から彰の生まれ変わりであることを知らされても、
前世の記憶は全くなかった涼。
百合に好意を持っていたのですが、
彼女は自分ではなく彰への想いを重ねていると思い距離を置くようになります。
しかしその後、
「特攻記念館」で彰の手紙を見た涼は、
前世の記憶を少しだけ思い出します。
そして大学生になり百合と再会した涼は、
彼女に愛を告白し一生一緒にいたいと言うのでした。
作者がどうしても描きたかった

この物語は、
小説投稿サイト「野いちご」で、
あの夏の光の中で、君と出会えたから。のタイトルで公開されていました。
実はこの時、
「涼=彰の生まれ変わり」に対して批判の声もあったそうです。
しかし作者の汐見夏衛さんは小説にあとがきでこのような説明をされています。
「ショックを受けた方には申し訳ないと思っている」
とした上で、
- 百合と涼が出会うこと
- 彰が百合と再び出会うこと
は、「どうしても書かなければいけないことでした。」
と綴られていました。
彰の死によってまだ14歳の百合がその先一人で生きていくことは、
忍びなかったというのです。
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作者として百合に幸せになってほしいという想いから、
涼という存在を作り出したのですね。
あの花が咲く丘での最後のセリフの意味は?
本作が泣けると評判になったのは、
ラストで百合が彰の手紙を読む場面でしょう。
原作は手紙の文字だけでしたが、
映画では彰のセリフになっていました。
ここからは、
そのセリフの意味について見ていきましょう。
続編に繋がる伏線?
こんな手紙を書いたら、かえって君を悲しませるかもしれない。
でもどうしても自分の気持ちを伝えておきたかった。
とした上で、
百合への愛の告白をした彰。
ポイントとなるセリフを要約すると以下になります。
・百合は素直で真っすぐな美しい魂を持っている
・僕はその魂を心から愛していた
百合をただ「愛していた」ではなく、
「美しい魂を愛していた」と綴っています。
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魂を愛するってなかなか言えるセリフじゃないですよね。
しかも10代の若者が、ですよ…
この彰のセリフから、
だから生まれ変わっても、
その魂がある限りはお互いに愛し合える
ということが伝わってきますね。
また以下のようなセリフもあります。
戦争ではない時代に生まれていたら、
百合と一生一緒に過ごしたかった
特攻隊員だった彰は、
百合へと共に過ごすことよりも、
国のために命を捧げる選択をしました。
当時を生きる彼にはそれが正しいと思える選択だったのでしょう。
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しかし本音は百合と一生を過ごしたかった。
その気持ちが祈りのように綴られていました。
百合にいくら「自分から死のうとするのはやめて!」と言われても、
自分の意思を曲げることがなかった彰。
でも悲痛の想いがあったのですね。
おそらくこの祈りが届き、
彰は涼という男に生まれ変わり再び百合の前に現れたのではないでしょうか。
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つまりこのような彰のセリフは、
「生まれ変わって再び会える」への伏線なのかもしれません。
百合への深い愛
手紙の中で彰は、
最後にこのような想いを綴っています。
戦争は近いうちに必ず終わる。
だから何としてでも
この戦争を生き抜いて欲しい。
それだけを願っている。
自分の安否よりも百合の人生を案じている彰。
この彰の想いを知った百合は、
こんなにも愛されていたんだ。
と涙が止まりません。
この彰の深い愛を知ることができた百合は、
魂で彰を繋がることができたのではないでしょうか。
だから百合だけには、
涼が彰の生まれ変わりだと確信できたのかもしれませんね。
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この手紙の内容があったから、
彰の生まれ変わりの男の子との再会できた時は、
涙が止まりませんでした!
まとめ
今回は映画化もされた「あの花が咲く丘で」の原作について、
最後の男の子が何者でどんな役割なのか、
最後の手紙のセリフの意味などを考察してきました。
【あの花が咲く丘での最後の男の子は何者でどんな役割か】
➡彰の生まれ変わりの男の子だった
➡役割は続編での主人公
➡生まれ変わりには賛否あったが作者はどうしても描きたかった
【最後のセリフの意味は?】
➡続編で彰の魂と百合が出会うための伏線?
このようなことがわかりました。
映画で本作を知った方は、
ぜひ小説のラスト、さらに続編も味わってみてはいかがでしょうか。